Webマーケティング2021.03.31
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Google広告は、Googleが運営する広告主向けの広告出稿サービスです。広告を低予算で出稿し、効果が得られなければ、すぐに解除することもできます。手軽に運用ができるGoogle広告ですが、消費税がかかっていることを知らない人も少なくありません。消費税というと、スーパーやコンビニエンスストアなどで商品を購入したときにかかる税金というイメージが強いのではないでしょうか。実は、WebサイトにGoogle広告を出す際にも広告料金に消費税がかかります。
この記事では「広告を出して商品を販売したい」「サービスの認知度を上げたい」という企業や個人に向けて、Google広告の消費税について、課税対象となった経緯や背景、概要や確認方法、免除されるケースなどを解説します。売り上げアップのためにぜひ参考にしてください。
Google広告に消費税がかかる理由
Google広告を出す際には、なぜ消費税がかかるのでしょうか。ここでは、Google広告に消費税がかかるようになった経緯も含めて、くわしく解説します。
従来のGoogle広告は「リバースチャージ方式」
Google広告はリバースチャージ方式を採用しています。リバースチャージ方式とは、消費税の徴収方式のひとつで、日本国外の事業者が、日本国内の事業者にサービスを提供したり商品を販売したりした場合に適用されます。
通常、消費税はサービス料金や商品代金を受け取った事業者が納付しますが、リバースチャージ方式では、サービスを受けたり商品を購入したりした側が、消費税の申告や納付を行います。
ただし、簡易課税制度を選択している事業者や、課税売上割合が95%以上の事業者についてはリバースチャージ方式の適用外となり、消費税は免除されます。
Google広告への消費税課税は2019年4月から
日本においては、2019年3月までのGoogle広告は、Google Asia Pacific Pte. Ltd.という外国法人がサービスを行っており、広告料の支払い先は国外の事業者とみなされていました。そのため、ユーザーの所在地が日本国内であっても、広告料をおさめているのは外国の事業者ということになり、Google広告利用者の大部分は消費税を支払う必要がありませんでした。
しかし、2019年4月1日に、Google広告の契約が、日本国内の法人であるGoogle合同会社に変更になりました。それにより、Google広告の利用は国内取引とみなされて、消費税を支払わなければならなくなりました。現在、Google広告の出稿には、通常の商取引と同様に10%の消費税が課税されています。
電気通信利用役務の提供とは
Google広告は、日本の税制においては「電気通信利用役務の提供」に該当し、消費税の納税が義務付けられています。電気通信利用役務の提供とは、以下のような「インターネットを通じて提供するサービス」を指します。
・電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウェアの配信
・顧客に、クラウド上のソフトウェアやデータベースを利用させるサービス
・顧客に、クラウド上で顧客の電子データの保存を行う場所の提供を行うサービス
・インターネット等を通じた広告の配信・掲載
・インターネット上のショッピングサイト・オークションサイトを利用させるサービス
・インターネット上でゲームソフト等を販売する場所を利用させるサービス
・インターネットを介して行う宿泊予約、飲食店予約サイト
・インターネットを介して行う英会話教室
・電話、電子メールによる継続的なコンサルティング
これまでは、同じインターネットを使ったサービスでも、国内の企業には消費税がかかり、外国の企業には消費税がかからないという状態でした。同じショッピングサイトでも楽天市場やYahoo!Japanには消費税が発生し、Amazonには発生しません。電気通信利用役務の提供は、これらを平等に扱うべく設定されました。
Facebook広告も消費税がかかる
Facebookの本社はアメリカにあるため、日本においては外国法人の扱いです。しかし、Facebook広告にも消費税がかかっています。これも「電気通信利用役務の提供」の規定によるものです。
「電気通信利用役務の提供」については、2015年に改正される前までは、サービスを提供する事業者の所在地によって、課税か非課税かを判断していました。しかし、改正後はサービスの提供を受ける側の所在地で判断がされることになりました。そのため、Facebook広告を利用するユーザーの所在地が日本国内であれば、消費税の課税対象ということになります。
Google広告の消費税額の確認方法
Google広告では、アカウント管理画面から消費税額を確認することができます。
Google広告にログインをして、アカウント管理画面の「請求とお支払い」の画面をタップし、「消費税」という項目をタップします。これだけの手順で確認できるため、無駄な支出をなくすためにも、月に1回は確認しましょう。
Google広告の消費税が免除されるケース
納税は国民の義務であるため、消費税の課税対象である限りは、必ず支払わなければなりません。しかし、売上の状況や選択している課税制度の種別によっては、消費税を免除される可能性もあります。以下で、Google広告の消費税が免除されるケースについて解説します。
課税売上割合が95%以上の場合
通常、Google広告には10%の消費税がかかります。しかし、広告料金を支払う事業者の課税売上割合が95%以上になると、リバースチャージ方式は適用されず、消費税の支払いが免除されます。課税売上割合は以下の計算式で算出されます。
課税売上割合=課税売上高+免税売上高/課税売上高+非課税売上高+免税売上高
ただし、Google広告を出している他に、非課税売上に該当する事業を行っている場合、課税売上割合が95%未満になるケースもあります。医療関連サービス、教育関連サービス、不動産の譲渡益、賃貸収入などは非課税売上とされています。それらの事業を含めた課税売上割合が95%である場合には、リバースチャージ方式が適用となり、消費税を支払わなければなりません。
簡易課税制度を適用している場合
消費税の簡易課税制度とは、消費税を計算する事務負担を軽減するための制度で、売上額に一定の仕入額を組み込み、消費税を控除できる仕組みです。この簡易課税制度は、基準期間における課税売上高が5,000万円以下の場合には適用されないため、注意が必要です。
消費税における基準期間とは、消費税の納税義務が確定する際の基準となる期間を指しており、個人事業者と法人では異なります。消費税の準備期間は、個人事業者の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度と定められています。
Googleアドセンスを利用している場合
Googleの広告サービスのひとつであるGoogleアドセンスには消費税がかかりません。その理由について、以下で詳しく解説します。
Googleアドセンスとは?
Google広告は、Googleの検索結果画面に検索したキーワードに関連する広告を配信する、リスティング広告です。一方、Googleアドセンスは、ブログなどのWebサイトに他社の広告を掲載し、広告収入を得るサービスです。審査があり、審査を通過した場合にのみ利用できます。企業だけでなく、個人サイトでも利用できます。
Googleアドセンスはクリック数などに応じた広告収入が得られる、Webサイトの運営者向けのサービスですが、この売り上げに対する消費税です。
Googleアドセンスには消費税がかからない理由
Googleアドセンスは、現時点でGoogle Asia Pacific Pte. Ltd.の契約であることから、国外取引とみなされます。そのため、消費税法上は「不課税」となり、売上が1,000万円を超えても消費税はかかりません。ただし、Googleアドセンス以外にも収入がある場合には、消費税の扱いが変わるケースもあるため、確認が必要です。
まとめ
Google広告は、2019年3月まではGoogle Asia Pacific Pte. Ltd.という国外事業者であったため、日本の消費税法の適用外で、消費税はかかりませんでした。しかし、2019年4月以降は、日本国内で合同会社としてのサービス提供となったため、Google広告のサービスは国内取引とみなされて、消費税がかかることとなりました。
同じGoogleの広告サービスであるにも関わらず、Googleアドセンスに消費税がかからないのは、サービスの契約先が海外法人であるためです。
なお、Google広告とならぶ広告サービスとしてFacebook広告があります。Facebookは本社がアメリカにあるため、「国外取引=消費税はかからない」と思われがちですが、Facebookにも消費税はかかります。これはFacebook広告が、消費税の課税が義務付けられている「電気通信利用役務の提供」に該当するからです。「電気通信利用役務の提供」においては、2015年の改正により、サービスを受ける側の居住地を消費税課税の基準とするようになりました。
Google広告の税務において、以前の知識のままで扱っていると、消費税を含めずに誤った処理をしてしまう可能性があります。消費税がかかるようになった理由や消費税法なども理解をして、適切な対応をしましょう。
また、消費税が10%になっているのにも関わらず、以前と同じ運用で広告を出稿すると、消費税額の差額などにより、予算オーバーになりかねません。Google広告にかかっている消費税の金額を定期的に確認し、広告予算の範囲 で収まるように計画を立てて広告を出しましょう。