DXの成功例|「鬼滅の刃」から学ぶ最新ビジネス戦略

DXの成功例|「鬼滅の刃」から学ぶ最新ビジネス戦略

Webマーケティング2021.03.10

目次


一昨年から「鬼滅の刃」という言葉を耳にする機会が増えたかと思います。鬼滅の刃といえば、『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』の累計興行収入が、公開初日からたった73日間で324億円を突破し、2001年から塗り替えられることのなかった『千と千尋の神隠し』の316億円を抜いて、日本歴代興行収入1位となったことで話題となりました。


『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて2016年11号から2020年24号まで連載されていましたが、1話から人気が高く2021年2月時点ではコミックスのシリーズ累計発行部数が1億5000万部を突破しました。(電子版も含む)


参照 鬼滅の刃 ウィキペディア


その後、アニメの公開、世の中に衝撃を与えた『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』の公開に続き様々な商品とのコラボ企画によってビジネスを拡大しています。


では、なぜ鬼滅の刃はここまでの大成功を収めることができたのでしょうか?大ヒットの裏側にはどのような戦略が施されていたのでしょうか?


この記事では、鬼滅の刃を聞いたことはあるけど、実際に見たこと・読んだことはないという方でもわかるように鬼滅ビジネスのマーケティング戦略を紐解いていきます。


すべてのマーケタ―や経営者の方にとって参考になるかと思います。


時代にあったマーケティング手法


時代にあったマーケティングとはなんでしょうか。わかりやすい例でいうとオンライン広告などがあります。


従来はテレビCMやチラシなどが主なビジネスの宣伝手段でしたが、時代の流れと共にオンライン化が進み、テレビよりもYouTubeや各種SNSなどのオンライン上に広告を流すことが主流となってきました。


このようにマーケティング手法は時代の変化や人々の嗜好に合わせ、随時アップデートしていく必要があります。まさに昨今謳われている「DX化」にもつながっていきます。


予め内容を公開する


『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』を見に行った人のほとんどが既に漫画を読んだことがある人だったそうです。映画で公開された部分は、すでに漫画で公開されていました。これはどういうことかというと、あらかじめ映画の内容を知っている人がわざわざ映画館に映画を見に行ったということです。


従来は公開前にネタバレをするなんて考えられないことでした。そのため、少しずつ小出しで情報を解禁していくことが普通でしたがその常識を覆したのが鬼滅の刃です。


漫画は映画にとってのマーケティングツール


鬼滅の刃は、漫画を読む人が増えれば増えるほど、映画の動員人数が増えるというサイクルを作り上げていました。つまり、漫画は映画をヒットさせるためのマーケティングツールになっていたわけです。


しかし、漫画と映画だけではこのサイクルは出来上がりません。このサイクルを作り上げるために重要なもうひとつの要素が「アニメ」です。


大ヒットの鍵となったアニメの存在


鬼滅の刃は、もともと漫画人気もありましたが、アニメの放映こそが大ブームを起こしたきっかけと言われています。もともと漫画を読んでいた鬼滅の刃ファンの中でも、アニメのクオリティの高さに感動した人が多いようです。音や映像による、登場人物の細やかな動きや場面ひとつひとつの臨場感は、漫画では再現することができません。


実は、このクオリティの高さがアニメや映画などの映像業界で成功を収めるためのキーポイントなのです。


完璧な3つのサイクルでクオリティも保証


映像のクオリティを上げるために必要なのは、クリエイターの実力だけではありません。そこには莫大なコストがかかってきます。プロのクリエイターとは、いくらでもコストをかけられるのであれば、いくらでもクオリティの高いものを作ることができる人達のことです。ですが、現実は限られた予算と戦わざるを得ません。


しかし、鬼滅の刃の場合は、すでに売れている「漫画」という商品があることで、漫画の売上収益を全てアニメ制作費にあてることができ、映像クオリティを保証することができたのです。


映像クオリティの高いアニメは、漫画ファンの心を掴み、口コミにより瞬く間に日本全国へと広まり鬼滅ブームを巻き起こしました。そして、アニメを見た人の中で、続きが気になり漫画購入に至った人もたくさんいるでしょう。このサイクルにより、漫画の売上はさらに伸びます。


更に、アニメと漫画での売上収益を映画の制作費に費やすことで、アニメで好評だった映像のクオリティを落とすことなく、更にクオリティの高い映画を作ることができたのです。漫画もアニメも見たことがないけど、流行りに便乗して映画を見てみたという方も少なからずいたでしょう。そこからまたアニメを見たり漫画を購入する人が増えるというサイクルが起こります。


つまり『鬼滅の刃』というたった1つのコンテンツの中で、「漫画」「アニメ」「映画」の3つの商品を作り、価値をずらすことで3つの商品全てにおいてファンの期待に応え、満足度を満たすことに成功したのです。





キャラクターを使ってビジネス拡大


漫画、アニメ、映画で大成功を収めたあとは、様々な商品とコラボをしてキャラクタービジネスを幅広く展開しています。


街を歩けば、鬼滅柄のマスクをつけた子供たち、鬼滅パッケージの缶コーヒー、コンビニの鬼滅キャンペーンなど、今や街中で鬼滅の刃グッズを見かけないことはないくらいの勢いですね。


まとめ


ここまでの社会現象を巻き起こした「鬼滅の刃」ですが、大ヒットの裏側におけるマーケティング戦略は今後ビジネスを拡大していきたいと思っている多くの企業にとって参考になる部分が大いにあるのではないでしょうか。


特に「商品をずらして価値をずらす」という考え方はこれからの時代で成功を収めるために押さえておくべきポイントです。


今の自分の商品やサービスは鬼滅の刃でいう「漫画」「アニメ」「映画」のどの部分なのか、また価値をずらすとしたらどのようなサービスを展開していくべきか、を考えてみましょう。


また、鬼滅の刃が大成功した裏付けとしてDXを上手く使ったビジネスだったことが挙げられます。以前は本屋さんでしか手に入れることのできなかった漫画や、テレビがなければ見ることができなかったアニメを誰もがオンライン上で楽しめる時代となり、SNSと連携することで商品を宣伝しファンと繋がり、次々とビジネスを拡大させていくことができたのでしょう。


時代にあった方法でビジネスを拡大していった鬼滅の刃は、まさにDXの成功事例といえるのではないでしょうか。


ビジネスは、一度成功して終わりではなく、そこで得た収益を次のビジネスへと上手く費やしていくことで拡大していくことができます。「鬼滅の刃ビジネス」を参考に今後の戦略を検討してみてはいかがでしょうか。