Webマーケティング2021.03.31
目次
動的検索広告(DSA:Dynamic Search Ads)とは、Googleがユーザーの検索したキーワードに応じて広告を自動作成するサービスのことです。想定していないキーワードからの流入が見込めるほか、広告を自動化でき、コンバージョン率を上げるなどの効果が期待できます。
Web広告の必要性を感じ、動的検索広告(DSA)の活用を検討している方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、企業のWeb広告を担当される方に向けて、動的検索広告の基本的なしくみやメリット・デメリット、運用に向いている企業の特徴や注意点を解説していきます。従来の検索連動型広告とは概念そのものが異なるため、上手に活用するためには必要な知識を備えておくことが重要です。
動的検索広告(DSA)とは
動的検索広告(DSA:Dynamic Search Ads)とは、Googleがユーザーの検索したキーワードに応じて広告を自動作成するサービスです。
大きなカテゴリーでは検索連動型広告に分類され、Googleが検索キーワードとの関連性を判別し、適切と考えられるリンク先のURLを自動的に表示してくれます。
動的検索広告は、広告見出しが自動的に作成されることも特徴の1つです。例えば、「賃貸+エリア」というキーワードをユーザーが検索した場合であれば、「〇〇エリアの賃貸を掲載中」などの見出しが自動的に作成されます。
検索連動型広告では、広告主の手で紐づけられるキーワードの選定と登録をする必要がありましたが、動的検索広告であればその手間も必要もありません。
動的検索広告(DSA)の仕組み
Googleがユーザーの検索ワードを検知し、URLと広告見出しを表示するまでには、次のような動作がおこなわれています。
・Googleクローラーが登録したURLを検知し、サイト内を巡回
・巡回した結果をGoogleのデータベースに収納
・ユーザーが検索したキーワードを検知
・キーワードと関連性の高いURLを抽出
・適切と考えられる広告見出しを作成したうえで表示
また、事前に次のような設定をすることで、広告の効果を高めることも可能です。
・キャンペーン:販売促進やアプリのダウンロードなどの目的の設定
・タイプ:URLを表示させる検索や商品を表示させるショッピングなどの掲載方法の設定
・予算と入札価格
このような設定をおこなうことで、Googleがユーザーが検索したキーワードとWebサイトの関連性を判定し、広告主が指定した形式で広告を表示してくれます。
動的検索広告(DSA)のメリット
実際に運用すると、どのような効果が得られるのでしょう。動的検索広告のメリットは、次の3つです。
・想定していないキーワードからの流入が見込める
・広告を自動化できる
・コンバージョン率を高められる
想定していないキーワードからの流入が見込める
1つ目のメリットが、想定していないキーワードからの流入を見込めることです。
先ほどお伝えしたように、動的検索広告には、検索キーワードに応じて適切と考えられるURLを表示するという特徴があります。
Googleが自動的にその関連性を判定するため、広告主が意図していないキーワードであっても広告が表示されることがあるのです。
そして、ビジネスレポートから広告が表示されたキーワードの確認をおこなえるため、Googleが関連性の高さを確認した語句を常にバージョンアップさせることができます。
自身のWebサイトが、どのようなキーワードと紐づきやすいのかを確認できるわけです。
広告を自動化できる
動的検索広告は、Googleがキーワードと広告の関連性を自動で判定してくれるサービスです。キャンペーンの目的や予算といった設定以外は、すべてGoogleが実施してくれます。
一般的な検索連動型の広告では、常に効果測定とキーワードのメンテナンスをする必要がありますが、動的検索広告はその手間が必要ありません。そのため、広告主は浮いた時間を他のことに使うことができます。
コンバージョン率を高められる
コンバージョン率を高められることも、メリットの1つです。
これまでの検索連動広告とは仕様が異なるため、多少の慣れが必要ではありますが、細かな設定をおこなうことで広域に発信しつつ、コンバージョン率を高めることも可能です。
ビジネスレポートから検索の動向を確認し、競合他社が掲載していないようなキーワードを発掘することで、目的が達成される可能性を高めることができます。これまで対象としていなかったユーザーにもアプローチできるチャンスも増えるでしょう。
動的検索広告(DSA)のデメリット
特に「広告に割く時間がない」という方にはメリットばかりの動的検索広告ですが、デメリットがあることも理解しておきましょう。
デメリットは次の2つです。
・キーワードごとの単価設定ができない
・広告見出しを変更できない
キーワードごとの単価設定ができない
動的検索広告を活用することで生じる1つ目のデメリットが、キーワードごとの単価設定ができないことです。
繰り返しになりますが、動的検索広告はユーザーが用いたキーワードとWebサイトとの関連性によって表示されます。
一般的な検索連動型の広告では、キーワードにかけられている予算に応じて広告が表示されますが、Googleがおこなった解析による関連性が優先されるため、1つの強いキーワードに予算をかけるという対策がおこないにくくなってしまうのです。
広告見出しを変更できない
広告見出しを変更できないことも、動的検索広告を利用することで生じるデメリットです。
動的検索広告はキーワードとの関連性を判定し、広告見出しの作成を自動でおこなってくれます。ただし、「雰囲気を大切にしたいのに、カジュアルな文面になっている」というような場合でも、見出しを修正することができません。
ニュアンスにこだわりたいブランドやリピート商品の訴求においては、イメージを変えてしまうリスクが隠されています。
動的検索広告(DSA)の運用に向いている企業
動的検索広告の運用に向いている企業には、次の2つの特徴があります。
・大量の商品やサービスを扱っている
・SEOによる最適化に力を入れている
大量の商品やサービスを扱っている
1つ目の大量の商品やサービスを扱っている企業は、動的検索広告を活用することでキーワード選定の難しさを克服できます。
ECサイトや不動産を掲載しているサイトに従来の検索連動型広告を活用すると、LPが膨大なため、どうしても予算を割くべきキーワードを絞り切れないという難しさが伴います。
しかし動的検索広告は、登録したWebサイトを巡回し、関連性の高いキーワードを自動的に判定するため、1つのキーワードに依存しない広告が可能になります。
商品やサービスの数だけサイト内にページがあり、1つ1つに広告を設定することが難しいといった企業に向いているといえるでしょう。
SEOによる最適化に力を入れている
また、SEOによる最適化に力を入れている企業も、動的検索広告の運用に適しているといえます。SEOはWebサイトを検索エンジンに最適化する施策のことです。GoogleやYahoo!には独自のアルゴリズムがあり、そのルールに則って、検索順位を決めています。
SEO対策を実施することで、自社のWebサイトが検索結果の上位に上がれば、それだけでユーザーの流入が見込めます。
SEOによるサイトの最適化では、Googleによるクローリングによって、ページのカテゴリーや見出しなどの大項目が優先的に抽出されやすいとされています。
動的検索広告ではキーワードごとに予算を設定することはできませんが、優先的に広告表示させるために、Webサイト全体の統制が整えるといった工夫をおこなうことは可能です。デジタル広告の出稿だけでなく、自社のサイトにSEOを実施している企業にも、動的検索広告はおすすめです。
動的検索広告(DSA)を運用する際の注意点
最後に、動的検索広告を運用する際の注意点を解説します。以下の内容に気を付けながら運用しましょう。
先ほど触れたように、動的検索広告には「想定していないキーワードからの流入が見込める」、「広告を自動化できる」などのメリットがあります。
ただし、リスクに繋がる可能性がある点には注意が必要です。デメリットでも取り上げたように、動的検索広告では広告見出しをカスタマイズすることができません。
また、事前に設定しておかなければ、ネガティブなキーワードと紐づけられてしまう、ユーザーが表示させるべきではないページを訪れてしまうなどのリスクが隠されています。
このような注意点があるため、GoogleがどのようにWebサイトとの関連性を測定しているかを理解して動的検索広告を利用することが重要です。
必要な知識を持ち合わせていないことで、自動で広告が表示されるという強みがかえってリスクになる可能性が高まってしまうのです。
まとめ
今回は、動的検索広告についてご紹介しました。
動的検索広告は時間を短縮しつつ、高い効果を見込めるツールの1つです。大量の商品やサービスを扱っている企業やSEOによる最適化に力を入れている企業にとっては利用価値が高いといえます。
動的検索広告を検討している場合は、自社のサービスが動的検索広告に向いているかを確認し、SEO対策を積極的におこなうことで生産性を高められます。
ただし、「ネガティブなイメージに繋がる可能性がある」といったリスクがあることも理解しておきましょう。
本記事では、動的検索広告のメリットやデメリット、向いている企業の特徴などを解説しましたが、使いこなすためにはそれなりの知識が必要です。動的検索広告の生産性を高めるためにも、専門家のアドバイスのもとで運用を始めてみることをおすすめします。