メッセージアプリはそこまで使わない?「アメリカの大学生に聞いた、人気アプリのイマドキな使い方」が面白い

メッセージアプリはそこまで使わない?「アメリカの大学生に聞いた、人気アプリのイマドキな使い方」が面白い

Webマーケティング2021.03.31

目次


"ミレニアル世代"と称される世代をご存知だろうか。アメリカで1980年代〜2000年代初頭に生まれた10代や20代を指し、物心ついた時からデジタル機器やインターネットに接している最初の世代のことだ。


そんな次世代を担う彼らの「モバイルのアプリに対する調査」は、これまで様々な企業によって行われ、彼らのアプリに対する傾向が続々と発表されている。そんな中でも、実際に対面で取材をし"リアルな声"を反映した調査が面白い結果を示している。取材内容と詳細は以下のとおりだ。


今回は米国東海岸に位置するデューク大学(※1)にて、自身も「ミレニアル世代」にあたる筆者が同校生徒17人に取材を実施した。取材では、「もっとも頻繁に使うアプリ」を5つほど挙げてもらい、各アプリの利用方法について詳しく話を聞いてみた。


※1...デューク大学は、ノースカロライナ州ダーラムに本部を置くアメリカ合衆国の私立大学で、USNewsのランキングでは、大学部門で全米第8位、ビジネススクール部門で全米13位、ロースクール部門で全米8位、メディカルスクール部門で全米8位、バイオ工学部門で全米4位にランキングされている。


■調査結果


言及の頻度


1位 Facebook 13人


2位 Snapchat 10人


3位 Instagram 7人


4位 Twitter 6人


5位 GroupMe、Spotify 5人


他のアプリ......Yik Yak(4人)、Facebookメッセンジャー(3人)、Uber(2人)、SoundCloud(2人)、Tumblr(1人)、ESPN(1人)、Buzzfeed(1人)、2048(1人)など


目次


1.メッセージアプリは補完程度!? プリインストールの強さに意外性


2.Twitterは"政治運動のプラットフォーム"として利用


3."リアルな声"から分かった意外な結果


1.メッセージアプリは補完程度!? プリインストールの強さに意外性


一般的に、メッセージアプリはユーザーの使用頻度が他のアプリに比べ高いと言われる。しかし、今回の取材でメッセージアプリを「頻繁に使うアプリ」として挙げる生徒はほとんどいなかった。


17人中5人が「頻繁に使う」とした「GroupMe」は、複数人でのメッセージのやり取りに特化したアプリだ。しかし、GroupMeを「メーリングリストの代替のようなもの」とする声があったように、GroupMeを一対一のコミュニケーションに利用することは稀らしい。


そこで、一対一のコミュニケーションに何を使うか詳しく聞いてみたところ、テキストメールやiMessageなど、スマートフォンの通信機能やプリインストールアプリを利用するという生徒が多かった。


Facebookメッセンジャーを頻繁に使うと答えた生徒も、「海外の友人との連絡に使う」「(自身がiPhoneユーザーであるため)Androidユーザーに連絡するときに使う」などと、テキストメールやiMessageを補完するように使うことが多いという。


注目したいのは、メッセージアプリに対する調査結果だ。日本では、人気の無料メッセージアプリ・LINEでほとんどのやり取りしているのが圧倒的だ。事実、私を含む周辺の大半が現状LINEでやりとりしている。


ただ、経験則として私の海外の友人を振り返ってみると、LINEのアプリを入れているのは中国などアジア圏の友人に多く、欧米の友人は調査結果のようにプリインストールアプリであるiMessageや、Facebookメッセンジャーの使用頻度の方が多い印象だ。また、欧米の友人からは「そもそもLINEの存在を知らない」という声も聞いたことがある。この調査の結果からその声は本当なのかもしれない。


2.Twitterは"政治運動のプラットフォーム"として利用


1番声が上がったとされるFacebookアプリにおける「繋がっている友人の共有した記事を読むための情報チェックツール」「スケジュール管理として使う」などの利用結果は、さほど日本の学生たちと変わらない。Instagramについての結果も、ほぼ同様と言っていいだろう。注目はTwitterについてだ。


Twitterに言及したのは17人中6人。友人とつながることを目的に使う人が多い点は他のSNSと共通していたが、政治や時事に関連する情報を得るためにTwitterを利用すると答える頻度が他のSNSよりも多かった。


昨年、アフリカ系アメリカ人に対する警官の暴力に抗議するハッシュタグ「#blacklivesmatter」がTwitter上で若年層を中心に流行したことなどから、Twitterが学生の政治活動のプラットフォームになることは知られていた。今回の取材結果は、その洞察を裏付けるものであると言えそうだ。


最近では「SEALDs」の運動などのように、学生たちが政治活動のツールとして利用している傾向にあるTwitter。海外でもそういった政治・時事の情報収集として使っている学生は多いようだ。政治に関連する人の利用者の多さと「ハッシュタグ機能」の有効性が、学生の政治活動にマッチしているのではないかと思われる。世界的にも、これから政治活動のプラットフォームとして加速していきそうだ。


3."リアルな声"から分かった意外な結果


ニュースアプリについてはこんな結果が出ている。


様々なメディア団体の調査から、若年層はモバイルやSNSを通じてニュースを読むことが明らかになっているという。事実、スマートフォン上でニュースを読む生徒の多くがSNSで共有された記事を読むと答えたが、モバイル上でニュースを読むと答えた生徒は、今回取材した生徒のうち約半数のみだった。


日本では「SmartNews」「Gunosy」などニュースアプリが人気を集めているが、海外の大学生たちは"自分にとって不必要な情報"にはあまり興味が無いのかもしれない。


"大学生に直接聞いた"取材で得た"リアルな声の結果"は、一般的な調査結果と比べ若干異なる結果を産んだようだ。大手の調査で出された量的データも踏まえつつ、こういった"リアルな声"を聞いた調査データを取り入れると、SNS戦略の新たなアイデアが浮かぶかもしれない。