グロースハックとは?なぜ注目されるのか、その手法や具体的な事例を解説

グロースハックとは?なぜ注目されるのか、その手法や具体的な事例を解説

Webマーケティング2021.03.31

目次


グロースハックとは、市場のニーズにあわせて商品やサービスの価値を提供するためのデータを分析したり、施策の実施・改善を行ったりするという意味のマーケティング用語です。


商品を売るためのマーケティングだけでなく、エンジニアの能力も兼ね備えたマーケティングを行うことで、より商品の訴求力を高めることができます。Web業界やIT業界が急速に発展したため通常のマーケティングだけでなく、プロダクト開発の能力もこれからのWebマーケターに求められています。


この記事では、企業のWebマーケティングを担当している方に向けて、グロースハックの特徴や具体的な事例、注目される理由などを解説します。マーケティングを行っている方は参考にしてください。


グロースハックとは?


グロースハックは2010年7月にGrowth Hack=成長を維持し続けるという意味で使われ始めました。Webマーケティングの業界で浸透している言葉ですが、マーケティングに限らずプロダクトやエンジニアなどの能力も必要なため、スケールの大きいWebマーケティングです。


グロースハックを行う人のことをグロースハッカーといいますが、彼らは市場のニーズに合わせて製品の価値を提供するためのデータ分析を行ったり、多くの実験を繰り返して検証、その改善を高速で行うことで、急成長に導くマーケティングを行っています。


グロースハックの流れ


グロースハックの概要を解説しましたが、グロースハックの施策はどのような流れで実施されているのでしょうか。主なグロースハックの流れを紹介します。


1.     サービス・商品を開発する


2.     ユーザーや市場の意見を分析し、改善施策を実行する


3.     分析と改善を繰り返していく


一般的にはこの業務を繰り返し行い、PDCAサイクルを回すことでサービスや製品の成長を促します。グロースハックを行うためには、マーケティング力とプロダクト開発のためのエンジニア力を駆使して課題を解決する能力が必要です。


グロースハックが注目される背景


グロースハックが近年注目される理由として、インターネットの促進によりWeb業界やIT業界が大きく発展したことが挙げられます。この2つの業界は、世界中の誰でもサービスや商品の開発が行えるようになり、参入障壁が低くなっています。


つまり世の中にとっていいサービスや商品を開発しても、それが新しいものにすぐ乗り換えられる恐れがあります。市場でサービスや商品を使用され続けるためには、ユーザーが求めるものを汲み取って、常に改善することが必要になります。


そのため、素早いマーケティング力とプロダクト開発のためのエンジニア力を駆使して課題を解決することを求める、グロースハックが注目されています。


グロースハックを用いて商品やサービスを成功に導くためには、フレームワークと呼ばれる骨組みが必要です。グロースハックで最も有名なフレームワークが、「AARRR(アー)」です。


名前だけからどのような手法か想像するのは難しいと思いますので、以下で詳しく解説します。AARRRを活用することで、商品やサービスを急成長させることも可能になるでしょう。


AARRRとは


AARRRのフレームワークは、「Acquisition(ユーザー獲得)」「Activation(利用)」「Retention(継続)」「Referral(紹介)」「Revenue(収益化)」の5種類から構成されています。


5種類すべてに目標値を定めることで、成長度合いを計測しながら商品やサービスを成長させることができます。


1. Acquisition(ユーザー獲得)


新しく商品やサービスを開発するときに必要なのは、ユーザー獲得を行うことです。ただし開発したばかりの場合、口コミで広まることもないため、大半の方は存在自体を知りません。そのため、マーケティングを活用してユーザー獲得に向けて広告を出し、サイトに訪問してもらうことがAcquisitionの段階です。


2.Activation(利用)


ユーザー獲得の段階の次は、ユーザーに商品やサービスを実際に利用してもらうことです。広告などで新しい商品やサービスを見ても、使い方や利用価値が分からないこともありますので、無料体験期間を設けるなど、ユーザーが不利益を被らないように利用してもらうことが大切です。


3.Retention(継続)


ユーザーに商品やサービスを実際に利用してもらえたら次は、ユーザーに継続してもらうことが重要です。


継続利用してもらうことを目指して、商品やサービスを展開したものの継続に至らない理由などが判明し、広告の内容と実際のサービス内容が違う可能性なども分かります。さまざまな情報が落ちてきますので、継続の段階は特に大切です。


4.Referral(紹介)


広告などで宣伝して、利用者を増やすのには費用がかかります。そこで効率的に利用者を増やすためには、利用者や継続者が友人や知人に商品やサービスを紹介してもらう状況を作りましょう。


「紹介してくれたら、キャッシュバックや割引をする」などのキャンペーンを行うことは、有効な手段の一つです。


5.Revenue(収益化)


最後は収益化を目指す段階です。継続や紹介者が増えることで、商品やサービスから収益を得ることができますが、その収益をできるだけユーザーの収益にもつながるように改善することが大切です。


これら一連の流れが「AARRR」のフレームワークです。ここまで紹介したものをそれぞれ検証や比較を行い、改善を繰り返します。段階ごとに数字をチェックすることでよい部分と悪い部分が浮き彫りになるので、集中的に改善を行うことができます。


グロースハックと従来のマーケティング手法の相違点


従来のマーケティングでは、SEO対策の文章やユーザーのアクセス推移、広告の出稿をメインに行います。グロースハックでも同様のことを行い、さらにサービスや商品を成長・拡散を求めて仕組化することを目指しています。


グロースハックの代表事例


グロースハックのフレームワークを紹介しましたが、実際に行動を起こしている企業は多くはありません。そこで、実際にグロースハックを用いて、製品やサービスが成長した事例について具体的に紹介します。


ドロップボックス


ドロップボックスはグロースハックの手法で会員数を大きく増やすことに成功しました。新規ユーザーの3割が既存ユーザーの紹介であることにドロップボックスが目を付け、インセンティブ付きの紹介特典を仕組み化しました。


具体的には、招待したユーザーと招待されて利用を始めるユーザーの両方に250MBのストレージを追加する特典を付けました。この施策により、ユーザーの獲得数を60%程度増やすことに成功しました。


Airbnb


近年話題になっているAirbnb(エアビーアンドビー)は、一般人が家を貸し出して収益を得たい人と、ホテルよりも家を借りたい人を結び付けるためのサイトです。日本でも「民泊」の流行とともに知られるようになりました。Airbnbでは、大手のコミュニティサイトの大手Craigslistと提携し、グロースハックに成功しました。


Craigslistは不動産や宿泊施設を投稿できるサイトで、家を貸し出したい人がCraigslistに投稿することで、自動的にAirbnbにも投稿されるようになりました。Airbnbは、新規ユーザーの獲得に有効な手段として評価されました。


Twitter


Twitterは、毎日開いている人もいるほど現代の生活に定着しています。ユーザーには若年層が多く、個人から著名人、起業まで幅広く利用されているSNSです。しかしTwitterなどのSNSは有名人や友達をフォローしていないと、見ることもなく離れてしまいます。


定着している人を分析した結果、Twitterのアカウントを登録したと同時に、複数人をフォローしていることが分かりました。そこで、新規登録をしたユーザーが定着してもらえるように、登録情報などからおすすめのユーザーを表示し、定着率が上昇しました。Twitterはフレームワークの継続の観点に目を付けて、グロースハックに成功しています。


データ分析の方法


グロースハックを行う上で、どこが悪く改善する余地があるかなどの分析方法があります。主に「コホート分析」と「ファネル分析」と呼ばれる分析方法がありますので、以下で詳しく紹介します。


コホート分析


コホート分析とは、ユーザーを一定の条件や属性でグループごとに分けて行動を分析する方法です。条件や属性は多数ありますが、例えば年齢や居住地などでグループに分けて調査を行うことで、年齢別の行動パターンや地域別行動パターンを分析することができます。


ファネル分析とは


ファネル分析とは、ユーザーが商品やサービスのWebサイトに訪れて、どこで離脱しているのかを分析する方法です。離脱している場所がわかると、サイトの問題点が明らかになり、離脱を抑えるための施策を考えることができます。


まとめ


インターネットの進歩により競争社会は加速し、マーケティングだけでは商品を継続して売ることは難しくなりました。今後はさらに、マーケティングとエンジニアをかけ合わせたグロースハッカーが重宝されます。


グロースハックにおける分析方法には「コホート分析」と「ファネル分析」の2つがあります。これらを実施しながら、どこに問題があり、どのように改善したらよいのかを見出しましょう。


マーケティングをしている方も少しずつエンジニアの力をつけて、競争社会で勝ち残れるようにしましょう。この記事を参照に、自社の施策をぜひ成功させてください。