テキストやバナーではなく、動画を使って配信する広告が「動画広告」です。動画広告市場は急成長を遂げ、現在ではエンゲージメントの高い広告フォーマットとして各企業に注目されています。

現在はスマートフォンで動画を視聴できる環境が整っているため幅広い世代が動画を楽しんでおり、企業のマーケティング手法も大きく変わってきました。

今回は、動画広告の仕組みやメリット、活用事例などを詳しく紹介します。

動画広告とは

動画広告とは、YouTubeの動画再生中や検索サイト結果、アプリなどで流れる、「動画を使用した広告」です。

商品やサービスの宣伝方法は多様ですが、インターネットとモバイルデバイスが急速に普及してきた近年では、動画広告に大きな注目が集まっています。

実際に活用している企業も増加しています。検索時や動画サイトの視聴時などに、動画広告を目にする機会も増えてきました。

動画広告の基本的な仕組みや、動画広告市場が急速に拡大している背景などについて確認しておきましょう。

動画広告の仕組み

YouTubeなどの動画配信サイトや、Facebookなどのメディアに広告費を支払い、配信回数・時間を設定して動画広告を配信します。

たとえば、YouTubeに動画広告を配信する場合は、以下のような流れになります。

  1. Google広告で「新しいキャンペーン」を作成する
  2. 広告配信の詳細を設定する
  3. 動画のURLを貼り付ける
  4. 審査に通過すれば配信開始

配信までの手順は決して難しくありません。仕組みが簡単で使いやすいことも、多くの企業が動画広告を導入している理由といえるでしょう。

なお、動画広告の課金方式は各メディアによって異なりますが、テレビCMのように莫大な広告費がかかるわけではありません。

1日あたりの予算1,000円でも配信でき、予算や支払い方法はいつでも自由に変えられます。

急速に拡大している動画広告市場

D2C/CCI/電通が共同発表した「2020年 日本の広告費インターネット広告媒体費 詳細分析」によれば、インターネット広告媒体費のなかで動画広告が占める割合は22%前年比121.3%の3,862億円に増加しています。

急速に拡大している動画広告市場


引用元:「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」|dentsu

2020年3月からは「第5世代移動通信システム(5G)」の商用化が始まり、データ通信の容量と速度が飛躍的に上昇したため、より快適に動画を視聴できるようになりました。

今後は、高度な技術や複雑な見せ方を活用した動画広告がさらに増えていくでしょう。

動画広告市場も拡大を続けていくものと予想されます。

動画のメリットとデメリット

動画のメリットとデメリット

動画広告には多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。ここでは、主なメリットとデメリットを確認していきます。

動画広告のメリット

1.多くの情報を伝えられる
動画広告は静止画よりも短時間に多くの情報を伝えられるので印象に残りやすく、商品やサービスの購入に繋がる可能性が高まります。

2.拡散されれば効果が倍増する
話題性のある動画は、SNSなどで一気に広まることがあります。

あまり知られていない企業の商品でも、短期間で認知度を高めることが可能です。

3.詳細な効果測定が可能
専用の効果測定ツールを使えば、表示回数や再生回数、視聴後の反応といった詳細な分析をすることもできます。

動画広告のデメリット

1.コストがかかる
従来のネット広告よりも制作に手間と時間がかかるため、バナーやテキスト広告のように安く仕上げることができません。

2.スマホでは伝わりにくい
動画をスマホで視聴するユーザーも多いため、ディテールこだわっても画面から伝わりにくい場合があります。

3.最後まで見てもらえない
動画広告開始後、一定の時間が経過すればユーザーは動画をスキップできるため、テレビCMと同じ手法を持ち込んでも通用しません。

冒頭でユーザーの興味を引けなければ、広告として成立しない可能性もあります。

動画広告のメリットについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

動画広告の作り方>>

動画広告の種類

動画広告には主に3つの種類があります。

1.インストリーム広告

インストリーム広告

動画コンテンツ内で再生される広告を「インストリーム広告」と呼びます。バナーやテキストよりも映像・音声・文字を使った表現の幅が広がるため、商品やサービスの魅力・特徴をユーザーに伝えやすいのがメリットです。

なお、インストリーム広告は動画コンテンツの冒頭・途中・末尾に流れるため、ユーザーに視聴されやすい傾向があります。

2.インバナー広告

インバナー広告

Webサイトのバナー枠で配信される広告です。ディスプレイ広告枠に表示されるため、動画サイト以外にも配信することができます。ターゲットの幅を広げたいときなどにも有効です。

ただし、インストリーム広告とは異なり途中でスキップはできず、音声もありません。

3.インフィード広告

動画広告のなかで、もっとも新しいタイプの広告です。Webページをスクロールしていく途中で動画広告が表示され、その時点から動画広告が再生されるという仕組みです。

インフィード広告は、PCサイトよりも、スマートフォンに向けたプロモーションでの活用に効果を発揮します。

従来の「インバナー広告」は画面に表示される前から動画の再生が始まりますが、インフィード広告なら動画を最初からユーザーに見せることができます。

4.その他の広告

上記以外にも、ブラウザの一定位置に固定されている「オーバーレイ広告」や、動画の視聴と引き換えにポイントなどを受け取れる「アプリ広告」などがあります。動画広告の種類について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

動画広告の種類>>

動画広告の主要メディア

動画広告の主要メディアとして、以下の4種類があります。

  • Youtube
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram

それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

Youtube

Youtube

動画広告配信先の代表的なメディアとして知られている「Youtube」。圧倒的なユーザー数と利用しやすさで、動画広告配信に利用する企業も増えてきています。

ユーザー数の多さだけではなく、ユーザーの年齢層の幅広さも大きな特徴です。

ターゲット設定をしっかり行えば、商品やサービスに最適な年代に動画広告を配信することができます。

ユーザーははじめから動画の視聴を目的としてYoutubeを利用しているため、動画広告が表示されても違和感がありません。

この親和性の高さが、コンバージョン率の向上に大きく貢献してくれるのです。

YouTubeの動画広告は、以下のような目的での配信にも適しています。

  • リーチの幅を広げたい
  • メッセージ性の高い動画を見せたい
  • 視聴単価を下げたい
  • 中長期的な戦略がある

Facebook

Facebook

実名登録によるリアルなつながりを実現しているFacebookには、精度の高い個人情報が登録されているという特徴があります。

他のSNSでは困難な詳細なターゲティングも可能です。年齢や性別だけではなく、居住エリアや未婚既婚、趣味嗜好などでターゲティングすることもできます。

動画広告はFacebook上のタイムラインに表示されるため注目度が高く、サイトへのスムーズな移動を促すことが可能です。

動画広告以外にもさまざまな種類の広告を配信しているので、他の広告と合わせて商品やブランドのイメージを高めることもできます。

Twitter

Twitter

手軽に利用できるSNSとして知られている「Twitter」。その最大の特徴は「拡散力の高さ」でしょう。

動画広告とツイートを組み合わせたキャンペーンの展開など、工夫次第でさまざまなマーケティングを展開できるのも魅力です。

「フォロワーターゲティング」という機能を使えば、指定したアカウントのフォロワーと類似フォロワーに限定して広告を配信することもできます。

ただし、Twitterはスマートフォンから利用するユーザーが多いため、動画広告を制作するときには、画面構成を意識しなければいけません。

また、Facebookなどとは異なり匿名性が高いため、ターゲティング精度が下がるというデメリットもあります。

Instagram

「インスタ映え」で知られるInstagramは、大企業から小売店まで利用できる対応幅の広さが特徴です。

主なユーザーは20代から30代の女性となるのでターゲットは限定的となりますが、自社の戦略とマッチしていれば大きな効果が得られる可能性もあります。

写真や動画といった視覚的コンテンツを中心としているため、動画広告も違和感なく表示させられるでしょう。

動画広告の課金方式

動画広告には、主に3種類の課金方式があります。

  • 表示回数で課金される「CPM」
  • 再生で課金される「CPV」
  • クリック課金方式の「CPC」

それぞれ詳しく見ていきましょう。

表示回数で課金される「CPM」

CPMはCost Per Milleの略で「1,000回あたりのコスト」を意味します。要は「動画広告が1,000回表示されたときに発生する広告費」です。

CPMは主にディスプレイ広告で採用されるケースが多いですが、動画の場合は再生時間に関係なくコストが発生するので注意が必要です。

なお、途中でスキップできないバンパー広告はCPM方式で課金されます。

CPMの算出方法は、以下のとおりです。

CPM=コスト÷表示回数×1000

たとえば、30万円の費用で50万回の表示があった場合は、

30万円÷50万回×1000=600円

となります。表示回数のトータルが多ければ多いほどCPMは下がります。

再生で課金される「CPV」

CPV(Cost per View)は、再生1回あたりで単価が発生する課金方式です。

主にインストリーム広告で採用され、一定の条件を満たした場合にコストが発生します。条件を満たされなければコストは発生しません。

なお、「一定の条件」はメディアによって異なります。具体的な例は以下です。

YouTubeユーザーが30秒以上視聴した場合(30秒未満の動画広告は最後まで)
Facebookユーザーが10秒以上再生した場合

効率的な動画配信をするためには、各メディアの条件を確認したうえで予算を設定するといいでしょう。

クリック課金方式の「CPC」

CPC(Cost Per Click)は、クリックされる毎に課金される方式です。インストリーム広告で採用されているケースは少なく、主にCPV課金と連動したクリックによってコストが発生します。

CPC課金の単価はキーワードや検索ボリュームによって変わるため、導入する前にしっかりと検討する必要があります。

動画広告の作り方

動画広告の作り方を、4つのステップに分けてご紹介します。

1. 訴求テスト

どういった訴求がターゲットに適しているのかをテストします。

動画制作では見た目や音、動きなどのほかに「適切なメッセージをターゲットに伝えられるかどうか」が極めて重要です。

競合他社との比較はもちろん、ペルソナの分析や顧客インタビューを徹底して戦略を立て、ユーザーのイメージを具体化していきましょう。

2.ブラッシュアップテスト

次に、複数の訴求や背景素材をテストしながら最適な伝え方を探ります。効率的な動画広告配信を行うためにも、繰り返しテストを実施しましょう。

3.見せ方テスト

ブラッシュアップテストで確定した内容を元に、ユーザーの興味を引くような「見せ方」をテストしていきます。内容が同じでも見せ方によってユーザーの反応は変わるので、時間をかけたい部分です。

4.サイズの展開

動画広告が完成したら、配信先に合わせて複数のサイズを展開します。商品やサービスのランディングページに動画のイメージを反映させれば、動画広告とランディングページの統一性もはかれるでしょう。

動画広告の作り方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

動画広告の作り方>>

動画広告の活用事例

動画広告の作成で悩んでいる方や、思ったような広告配信効果が得られないという方は、活用事例を参考に製作してみることをおすすめします。

  • インストリーム広告
  • インフィード広告
  • インバナー広告

各広告の活用事例を詳しく見ていきましょう。

インストリーム広告

HubSpot無料CRM【58秒】

HubSpotが提供している CRMの動画広告です。無料で利用できるCRMの機能を動画でわかりやすく紹介しています。

ターゲットを明確にしたうえで「誰が」「どのように」「このサービスを活用するべきか」をしっかりと伝えているので、興味を引きやすくなっています。

リピリカ化粧水インストリーム広告【18秒】

リピリカ化粧水のインストリーム広告です。実際に商品を使っている様子を撮影して、具体的な使用感をユーザーに伝えています。

「文字化された効果音」という、女性ターゲットに適した表現方法にも注目です。

インフィード広告

ケルヒャー

ケルヒャー



ケルヒャーのインフィード広告です。商品を実際に使用しているシーンを収録して、ユーザーに購入後のイメージを訴求しています。

また、商品使用のビフォーアフターを動画内で紹介することによって、商品を使用した効果を的確に伝えています。

syoss



カラートリートメントのインフィード広告です。実写とアニメーションを上手く複合させて、必要な情報を端的に伝えています。

アンケートの調査結果などを動画内にイラストで挿入しているのもポイントです。また、自社のサイトでも同じ動画を活用し、統一性を図っています。

インバナー広告

shutterstock

shutterstock


画像提供サービスで知られている「shutterstock」のインバナー広告です。サイトからダウンロードできる画像を動画内で次々と表示し、実際の活用シーンをイメージしやすくしています。

視聴者の目を引くような画像が大きくなる演出も特徴です。

Surface

Surface



マイクロソフト「Surface」のインバナー広告です。スペックと価格を表示しただけのシンプルな動画ですが、多くの機種を比較検討したいというユーザーには最適です。

各商品の詳細が知りたくなったというユーザーをサイトに誘導しやすいというメリットもあります。

市場が拡大する動画広告

今回は動画広告の仕組みやメリットについて詳しくご紹介しました。

動画広告は静止画やバナー広告と異なり、短時間で多くの情報を伝えられるというメリットがあります。さらに、再生回数や視聴率といった詳細な効果測定を行うことも可能です。

インターネットとモバイルデバイスの急速な普及にともなって、動画広告市場も拡大の一途を辿っています。

5Gの商用化にも後押しされ、今後も成長を続けていくでしょう。企業とユーザーの双方にとって動画広告の重要性は高まっていくばかりです。

大きな流れの中で商品やサービスを的確にアピールするためにも、動画広告の仕組みやメリットを理解して活用していきましょう。