ペーパーレス化の動きは製造業でも以前から叫ばれてきています。しかし、多くの製造現場では、口頭での指示や紙での記録、人手による作業により、紙文化が根強く浸透し、属人化されています。

ここでは製造業でのペーパーレスの必要性を確認していきたいと思います。

なぜ製造業でペーパーレスが必要なのか

新型コロナウイルスの影響が続く昨今でも、工場などの現場があることからリモートワークの導入が難しく、ペーパーレス化にもなかなか着手できていない企業も多いのではないでしょうか。また一般的な企業でよく使用される契約書や見積書、請求書などの紙の書類のほか、設計図や、製造指示書など製造業現場特有の書類があるため、紙の書類量は一般の企業よりはるかに多くなります。会議資料などであれば、一定期間を過ぎれば破棄することができますが、設計図などはその部品が廃番にならない限り破棄できません。さらに図面などは様々な課や部門で管理しておく必要がありますが、変更があるたびに各部署で管理されているすべての図面を修正してなければならないのでは効率的とは言えません。

製造現場でペーパーレス化にするメリット

時間・資源・場所の節約

一般企業より使用する紙の資料が多いので、その資料の管理をするだけでも多大な時間と資源と場所が必要になります。単純にこれらの資料を電子化するだけでも、コストが大幅にカットできます。さらに書類の保管スペースとしていた場所を新たな生産ラインとして配置し直すこともできます。

人手不足をカバー

少子高齢化で労働人口が減少している中、製造業では特に人材不足が顕著化しています。国内の製造業就業者数は、2002年から2019年の20年間で11.6%減少している(※経済産業省 2020年版モノづくり白書より)上に、新型コロナ感染症の影響による解雇や雇止めの可能性もあり、今後より注視する必要があります。そうした人材不足の流れをペーパーレス化することによりカバーできる可能性があります。

例えば記入された情報をパソコンに入力する作業や、紙の書類を分類して保管する作業、膨大な資料の中から必要な書類を探す手間など、これらをペーパーレス化するデジタルツールの導入で自動化し瞬時に行えるようになります。人手不足の中で生産性を高めるには、そうしたツールを積極的に取り入れていく必要があります。

脱属人化と非効率からの脱却

紙ベースで情報共有をする場合、どうしても作成や記載方法、保管方法など人によって対応が変わる属人化が起こりやすくなります。また営業部と工場現場で紙のやり取りをしていたのでは、どうしても情報共有のスピードに限界が出ますし、それぞれの工場でやり方が違うのであれば混乱して物事がスムーズに進まなくなります。そうした部分をペーパーレスの一環として、同一システムを導入することで属人化を防ぎ、情報共有を素早く行い、商談・受注へスムーズにつなげることができるようになります。

ペーパーレス導入前のチェックポイント

導入コストの見積もり

ペーパーレス化にはデジタルツールの導入が必要になるので、その導入のコストとペーパーレス化による経費や人件費がどれくらい削減されるかの比較と見積もりをしっかりと行う必要があります。

社員のITリテラシーと教育

パソコンに馴染みのない社員はITリテラシーや操作方法に不安な面があるでしょう。ペーパーレス化を行う前に実際に使用することになる社員の意見に耳を傾け、不安を取り除くようにしておきましょう。またその指導にかかる時間とコストも事前に考えておく必要があります。

障害や不具合への対応

デジタルツールではシステム不具合やネットワーク障害が起こる可能性があります。万が一に備えて、バックアップを取るようにする、トラブルに対応できるようにマニュアルを作成しておくなど、事前準備をしておくと安心です。

段階的にペーパーレス化する

ペーパーレス化はフローやフォーマットが確立すると効率が上がり作業が早くなりますが、導入当初は戸惑うことも多く、使用する社員への負担が大きくなります。そのため、一度にすべてをペーパーレスにするのではなく、優先度の高い工程からペーパーレスへ移行することをおすすめします。

まとめ

工場などの現場をかかえる製造業は、書類の多さに加えて、人材不足が長く続いています。導入コストや導入時の負担を考えて二の足を踏みやすくなりますが、導入前後の作業工程数を可視化し、コストや人件費を比べて導入のメリットをはっきりさせて検討してみるといいでしょう。

メリットは紙の削減だけではなく、生産性の向上や業務効率化など多方面につながりますので、ペーパーレス化に取り組んでみてはいかがでしょうか?

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