ECサイトの運営において、データ分析は欠かせない要素。おそらくどの企業も売上アップに向けたデータ分析に力を入れていることと思います。しかし、「一人ひとりの顧客がどのような購買活動をしているか」という「顧客軸」のデータ分析は、まだまだ多くの企業が取組めていません。今回の記事では、顧客軸のデータ分析がどのようなメリットを生み出すのか、そしてこれを実行するためにどうすればいいのかについてお話ししたいと思います。

EC運営では、「顧客軸」のデータ管理が決め手

ECサイトを成長させていく上で、「既存顧客の育成」は最重要テーマのひとつといえるでしょう。一度商品を購入してくれた顧客に対して、次にどんな商品を提案し買ってもらうのか、その施策の成果次第で、ECサイトの利益は大きく変化します。ECサイトに限らず、多くのビジネスにおいて既存顧客に対するマーケティングは絶対に無視できない要素です。

では、既存顧客のリピートを生み出すためにどうすればよいのでしょうか。やみくもにこちらが売りたい商品・サービスを提案するだけでは、売れるはずがありません。そこでヒントになるのが、「これまでその顧客がどのような購買行動をとってきたのか」という「顧客軸」の過去のデータ。そのデータを分析することで、それぞれの顧客に対してどのような商品を提案すればよいのかがおのずと明らかになってくるわけです。

顧客軸のデータはなかなか抽出できない

ところが、今お話ししたような顧客軸のデータ分析は、意外に難しいものです。もちろん、ECサイトではさまざまなアクセス解析ツールを使うことができます。しかし、一般的なショッピングモールやカートASPが提供するデータ分析は、「顧客軸」のものではないのです。

たとえば、「ECサイトの中でどのページが何回閲覧されたのか」「どの商品がどの程度購入されたのか」といったデータは、簡単にデータベースから抽出することができます。しかし、これらの情報は全顧客のデータを集約した結果であり、一人ひとりの顧客の購買行動を追うものではありません。ひとつひとつのデータを、個人と結びつけるのはなかなか難しいものなのです。

「顧客軸のデータ」とは、たとえば次のような情報を指しています。「最初にAという商品を買った顧客が、その一週間後にBという商品を購入している」。この一例だけでは全体の傾向はわかりませんが、仮に似たような行動をとった顧客が全体の半数に達していれば、一般的な購買パターンとしてマーケティングの材料にすることができます。それがわかれば、たとえば「商品Aを購入した顧客に対し、商品Bを購入するよう提案するフローを入れる」といった具体的な施策を打ち出すことができるわけです。

顧客軸のデータを分析するための具体的な方法

こうした顧客軸のデータ分析ができるツールを持っていない場合、どうすればよいのでしょうか。ひとつのステップとして考えられるのは、CRM(顧客関係管理)のシステムを導入することです。ECサイトのデータベースシステムから受注データを抽出し、このデータをCRMのシステムに入れ、そこでデータ分析を行えば、顧客軸のデータ分析は可能となります。

それ以外の手段としては、Accessやファイルメーカーといったソフトを使って独自の顧客データベースを構築するという方法も考えられます。いずれにせよ、従来の環境にないシステムを新たに導入するというプロセスが発生することになります。

もしも自社内にシステム構築のスキルを持つ人材がいれば、その人にシステムの開発、または既存ソフトの導入を依頼するのがよいでしょう。もしいなければ、システム構築ができる人材を採用するか、あるいは外部のシステム会社等に開発を依頼するという選択肢もあります。また、システム構築技術がない人でも導入・操作できるパッケージ化された商品もありますので、これを導入するという手段もあります。

月商500万円前後から、顧客軸データ分析は必要

ここまで顧客軸のデータ分析のメリットを説明してきましたが、ECサイトの規模が小さいうちは無理に導入する必要はないでしょう。目安としては、商材や顧客単価によっても変わりますが、月商500万円前後に達した段階で顧客軸のデータ分析を検討するのがよいと思われます。月商1000万円を超えるECサイトになったころには、効率的なマーケティング展開のため、確実にこのデータ分析手法を使いこなしておきたいところです。

まとめ

ECサイトの運営においては、商品力以上にWebマーケティングをどれだけ効果的におこなったかが成否のカギを握るものです。マーケティングというとどうしても「広告」に気をとられがちなものですが、リピート顧客を獲得するためには、過去の顧客の行動を蓄積したデータベースがじつは最も大きな武器となります。しかし現状では、まだまだこうした貴重なデータベースを十分活用しきれていないケースが多いようです。「月商500万円前後から売り上げの壁が乗り越えられない」そんな悩みをお持ちなら、顧客軸のデータ分析手法を一度試してみてはいかがでしょうか。