「お客様大変申し訳ありません…当店では●●円以上のお買い求めでないと、ポイントがつかないんです…」。

 みなさんは、ポイントカードを採用している実店舗でこういった経験をしたことがありませんか?

この話は、紙にスタンプを押していくような昔のようなポイントカードではなく、POSレジに通す方式でポイントが加算されるようになっているポイントカードを採用している場合の話です。こういった仕組みを取り入れている実店舗にとって”お客様がポイントカードを利用することができない”という行為は、顧客データを獲得できるせっかくのチャンスを逃しているという、非常にもったいない行為なのです。たとえ買い物に来たお客様が、100円しか利用しなかった場合でもきちんとポイントを付与し、とにかくお客様からポイントカードを提示してもらえるようにした方が、ショップにとって結果的に「良い結果」を生み出すのです。一体何故なのか。そもそも、ポイントカードというのは一体何なのでしょうか。それは店側にとって重要なデータである「顧客ID」となるものなのです。

なぜ「顧客ID」が「良い結果」を生み出すのか

 必ずしも、お客様の名前や住所・電話番号を入力されているわけではないですが、この「顧客ID」の中には例えば、”顧客ID:◯◯◯◯◯”のお客様が「今回・前回・前々回の来店で何を買ったのか」「いずれの来店にも共通する購買商品は一体なんなのか」「購買のパターンはどこかのタイミングで変化したのか」など”このお客様がどんな購買行動をしたのか”という顧客データが含まれています。つまり、お客様にポイントカードを提示してもらうことでそういった”購買行動パターンデータ”がどんどん蓄積されていくようになります。よって、お客様が行うすべての購買行動において「漏れなくポイントカードに履歴を残せるような仕組み」を整えることが、実店舗を運用しているショップ側にとって極めて大切なことなのです。できることであれば、実店舗に来店してお客様が一切の購買行動をおこさなかったとしても、ポイントカードに「購買行動をおこさなかった」という履歴が残る仕組みになるのなら、なお良いでしょう。

顧客データを得るために仕掛けた”来店ポイント”の仕組み

 大手家電量販店・ヤマダ電機は、自社のポイントカードのサービスとして、来店するだけでポイント付与するという「来店ポイント」という制度を行なっています。ヤマダ電機に来店して、各店舗に備え付けてあるポイントカード専用の機械にカードを通すと、その日の「来店ポイント」が付与されるという仕組みです。また、お客様に興味を持ってもらうために、柄が揃うと多く来店ポイントが付与されるスロットのようなゲーム性を取り入れたりするほど、力を入れています。たとえこの後に、お客様にこの日の購買行動がなかったとしても、ヤマダ電機の顧客データベースには「顧客ID:◯◯◯◯◯が○月×日▲▲時に来店した」という履歴が残るわけです。

 このヤマダ電機の「来店ポイント」の考え方は、「単に来店ポイントをもらいにくるだけのお客様」のデータを大量に増やしてしまう可能性もあります。しかし、”来店ポイント目当て”のお客様だったとしても、店舗との接触頻度は購買行動の可能性を上げること繋がります。そのあたりの検証も含めてヤマダ電機は、購買行動だけのデータを取得するのではなく”来店のデータも取得する仕組み”をとっていると思われます。

 実店舗ではなく、ネットショップの場合は様々な顧客データ・購買行動データが残るように管理・整備されているため、その情報の取得は比較的簡単におこなうことができます。しかし、ネットではない多くの実店舗では、POSレジに残るデータ以外の顧客データを取得することができません。そんな問題を打開するために、積極的に活用しなければならないのが、ポイントカードなのです。もしポイントカードがなければ、実店舗で購買行動をおこなったお客様を全く特定することなく、たくさんのお客様の購買履歴データだけがPOSデータにどんどんと積み重なっていくことになります。これでは、お客様に対する数値的データが取れないまま、ネットに比べて圧倒的にお客様に対するデータ分析の差が格段についてしまうわけです。

 お客様が積極的にポイントカードを提示してくれるような、実店舗での仕組みを作ることで、来店したお客様が”いつどこでどんな商品を購入したか”を把握できるようになります。また、実店舗に来店したけれど購買行動なく店舗を離れてしまったお客様の”購買心理のリアルな移り変わり”などが、顧客データとしてわかりやすく結果として出るようになります。ネットショッピングなど、インターネットを経由して購入する際に残る顧客データ管理システムと同じく、今リアルの世界ではそういった”顧客データのデジタル化”が着々と始まっています。実店舗に来店するお客様に「顧客ID」をどうやっても持たせるか、実店舗販売とインターネット販売の顧客IDをいかに連動させることができるか、デジタル時代のマーケティングにおいて、これは最も大きな課題なのです。