今ABM(アカウントベースドマーケティング)が注目されている背景を紐解く 4.こんな企業はABM実施を検討したい

2014年がマーケティングオートメーション元年と言われてから、月日が経ち、次は「ABM」というキーワードがBtoBのマーケティング業界で聞かれるようになりました。しかし、「これは単なるバズワードではないか?」「昔からこのようなことは言われていたじゃないか」と、この状況を静観している方も多いように思います。

本記事はそのような方、そして、ABMの意味は理解しているものの、自社や自分の担当しているクライアントに向いているのかわからないという方向けに、ABMについてまとめたものです。

今回は、この「今ABM(アカウントベースドマーケティング)が注目されている背景を紐解く」シリーズ第4回として、「ABMを実施すべき企業」について解説します。

※以前のシリーズは記事の最後にバックナンバーとして記載しています。

まず、ABMはすべての企業に必要なものでも、すべての企業が実現できるものでもありません。なぜならABMは、そもそも達成しなければいけない大きな予算があり、さらにそこに人も仕組みもお金も充てられる企業でなければ取り組めないからです。

例えば、従業員5名の企業では、ABM実施の必要性は薄いといえるでしょう。また、ABMは特定のターゲットアカウントを絞り込み、そこにヒト・モノ・カネ・情報などの資源を投入し最大の売上・利益をあげるために存在するため、広く浅く顧客を獲得したいサービスや、1企業と1契約しかできず、その窓口以外に他部門へのアップセルやクロスセルなどが見込めない商材であれば、あまり向いていません。<br>

では、どのような企業がABMに取り組むべきなのでしょうか?

こんな企業はABM実施を検討したい①ターゲット企業は少ないが、ターゲット部門は多い

これは、製造業によくある話だと思います。例えば、自社のつくっている素材は、ある特定の製品にしか使われないものだとします。すると、ターゲット企業はその特定の製品を製造している企業に限られます。

ただし、このターゲット企業が大きいと、これまで取引をしている部門以外にも、他部門で取引できる可能性が転がっているものです。これは新規でターゲット企業を探すより、海外展開を検討するより、はるかにアプローチしやすいはずです。このように、ターゲット企業は少ないものの、ターゲット部門が同じ企業の中に複数ある場合は、ABMが役立つかもしれません。

こんな企業はABM実施を検討したい②営業担当が少なく、担当企業のフォローがまわらない

日本の営業担当の多くは新規の営業には慣れておらず、既存の取引窓口の方との関係性を深めることが得意です。すると、他部門展開は容易ではないですし、限られた時間で他部門のターゲットになりうる方々全てとコンタクトをとれるわけがありません。

すでにこのシリーズ第2回で具体例を上挙げましたが、例えば、以下のケースを考えてみてください。

・1拠点に開発部門含めて3つターゲット部署がある

・1部署に20名在籍

・ターゲット企業の拠点数は5つ

これだけで300名がターゲットパーソンということになります。

週に3回顧客のところへ会いにいけるとしても、年間で連休を含めても52週ですから、コンタクトできるのは156名です。こう考えると、いかに今の営業担当が顧客の中に広く入り込めていないか、見えてくるはずです。この「横展開」をサポートしてくれるのがABMというわけです。

こんな企業はABM実施を検討したい③最近、競合に既存の取引先の別部門・別案件を先取りされた 

このABMの紐解きシリーズ第2回でも触れましたが、競合、特に外資はターゲット企業を「面」で狙ってきます。

前述の「こんな企業はABM実施を検討したい②」でも触れましたが、ターゲットは今コンタクトできている相手だけではないはずです。営業担当者が「点」で現在の取引窓口の方といかに強固な関係をつくっていても、「面で」関係性を構築する企業は、他部門のニーズを拾い上げ、猛アプローチをかけてくるのです。

「点」のアプローチだけ行っていては、それに気づくはずもありません。もしかすると気づけたとしても、それはもう手遅れの状況かもしれません。最近、「他社に先越された案件があったな」と思い当たるフシがあれば、ABMは役立つかもしれません。

今回のまとめ

ABMは全ての企業の救世主ではありません。1回売り切り商材や、1度取引が始まったあとにアップセル・クロスセルが望めない商材であれば、次から次へ別の企業を狙う必要性があります。

しかし専門性が高く、限られた企業にしか求められない商材であれば、むやみに「新規開拓」「海外展開」など考えずに、まずはABMを実施し、ターゲット企業を攻めきるところからはじめるべきかもしれません。