2014年がマーケティングオートメーション元年と言われてから、月日が経ち、次は「ABM」というキーワードがBtoBのマーケティング業界で聞かれるようになりました。しかし、「これは単なるバズワードではないか?」「昔からこのようなことは言われていたじゃないか」と、この状況を静観している方も多いように思います。

今回の記事はそのような方、そして、ABMの意味は理解しているものの、自社や自分の担当しているクライアントに向いているのかわからないという方向けに、少しでもABMに興味をも持っていただけるきっかけになればと考え、その概要についてまとめたものです。

まず、そもそものABMの意味ですが、以前当Marketing Bank内でも紹介した「古くて新しいマーケティング手法「アカウントベースドマーケティング(ABM)」の始め方」をご覧いただけますと、より本記事の理解が進むかと思いますので、ABM自体や取り組み方をお知りになりたい方はこちらを先にご覧になってください。

[古くて新しいマーケティング手法「アカウントベースドマーケティング(ABM)」の始め方]

ABMってつまりアップセル・クロスセル?

ABMの意味を理解されている方にとっては、この疑問が最初に頭に浮かんだのではないでしょうか。もちろん、「ABM=アップセル・クロスセル活動」と考えて大枠は間違っていません。しかし、ABMは従来のアップセル・クロスセル活動の強化版と考えると理解しやすくなります。

なぜなら、日本企業のこれまでの既存営業活動の課題となりうる特徴を、ABMがうまくカバーしてくれるからです。それでは、その特徴をご紹介します。

日本企業の法人営業の特徴

1.営業担当が企業ごとにいる(アカウント営業)

基本的に、A社の窓口は営業マンBが担い、A社のあらゆる案件の窓口を担当します。A社が製造業の場合、工場が複数拠点に分かれていれば、営業マンBはA社の各工場も担当することが多いです。場合によっては、地方の支点で、担当エリアの工場を担当することがあるかもしれませんが、基本的には特定の営業マンが特定の企業を担当することが多いというのが特徴です。

2.顧客からもらう情報・やりとりの記録が属人的に管理されている

BtoCの世界では、顧客管理システムの導入で、メルマガ会員、購入者、ショップ来店者などあらゆる個人情報が整理され、かかってきた問い合わせの電話は録音され、誰が担当しても同様の対応ができるよう情報が共有されています。

しかし、法人営業(BtoB)の世界では、名刺は営業マンが紙で手元に保管したり、自分に不要だと思った名刺は捨てたりすることもあります。さらには、問い合わせにはその場で回答して、履歴を残さなかったり、案件進捗を尋ねなければわからない状況だったりと、顧客からの情報は属人的に管理され、その顧客との関係は営業マンとの「点」のつながりに委ねられているという特徴があります。

3.メーカーは代理店・商社経由で販売し、代理店・商社は取り扱う製品数が多い

メーカーは直販比率が低く、多くは代理店や商社に販売窓口を任せていることが多くあります。メーカーの営業マンはそのような代理店や商社への情報提供の役割を担うことが多く、直接エンドユーザーの顔を見ることはあまりありません。

一方、代理店や商社は取扱いメーカー・製品が多く、個別の製品の詳しい話までできないため、どうしても売りやすい製品・キャンペーンがある製品などを積極的に紹介したり、もしくは積極的な情報提供ができずにエンドユーザーの「御用聞き」として、受発注業務ばかりになってしまったりという特徴があります。

3つの特徴をまとめると、

メーカーは直販できたとしても、営業マンと顧客の既存取引の窓口という「点」でのつながりしか構築できずに、そのつながりすらも属人化し、横の広がりを開拓しづらい。直販できなければ、エンドユーザーに広く、十分に情報すら伝わらないという状況になっているわけです。

法人営業は既存の取引先からのアップセルと新規の取引先開拓、どちらが難易度が高いかというと後者です。新規顧客の獲得にかかる費用は既存顧客のそれよりも高く、かつ営業マンの心理的ハードルも高いはずです。

まとめ

これまでの日本企業の法人営業には特徴があり、「顧客開拓しろ」と言われてもうまく展開できず、伸び悩んでいました。それその課題を解決へ近づけてくれるのが「ABM」というわけなのです。ゆえに私は冒頭でアップセル・クロスセルの「強化版」とお伝えしました。

次回、この特徴からABMがどのように日本企業の法人営業の特徴から生まれる課題を解決に近づけてくれるのかご紹介していきたいと思います。