2014年がマーケティングオートメーション元年と言われてから、月日が経ち、次は「ABM」というキーワードがBtoBのマーケティング業界で聞かれるようになりました。しかし、「これは単なるバズワードではないか?」「昔からこのようなことは言われていたじゃないか」と、この状況を静観している方も多いように思います。

本記事はそのような方、そして、ABMの意味は理解しているものの、自社や自分の担当しているクライアントに向いているのかわからないという方向けに、ABMについてまとめたものです。

今回は、この「今ABM(アカウントベースドマーケティング)が注目されている背景を紐解く」シリーズです。

前2回は、日本のこれまでの営業活動の特徴や、その特徴に対してABM実施で何が変わるのかまとめました。今回は日本企業にABMが必要であることは理解されている方々に、「なぜ今」注目されているのか、揃ってきた3つのパーツをもとに解説していきたいと思います。

前回までの記事

[日本企業の営業活動の3つの特徴に鍵] [が従来のアップセル・クロスセル活動と異なる3つの理由]

まず、ABMは誰もが簡単に実施できるものではありません。

社内に蓄積されたデータをかき集め、そのデータをプライバシーポリシーの見直し含めマーケティング活動に使える状態に変える必要がありますし、ABM実施によって創出されたリードには営業がアプローチをし、その結果を見える化する必要もあります。日本企業の多くがイマすぐに手を付けられるものではありません。

しかし、一部の企業は数年前から準備を重ね、社内で少しずつ形になっていき、今ABMを実施できるパーツが揃ったのです。では、そのパーツとは何か、紹介していきましょう。

ABM実施のための3つのパーツその1 SFA

SFAとはセールス・フォース・オートメーションの略で、「営業支援システム」や「営業進捗管理システム」などと言われるものです。

従来、SFA導入前の営業部門では、各々の案件管理をオフィスの壁に貼られた模造紙やホワイトボードに記録したり、営業日報などで上司に報告したりしていました。それがエクセルで代用されるようになり、さらSFA導入へと進んでいったのです。

この記事を読んでいる方々の中にも、社内にSFAが導入されているケースがあるでしょう。ABMでは、創出されたリードの行方(要は受注したのかしていないのか、そもそも営業がアプローチもせずに放置されてしまっているのか)を把握するためにSFAが必要不可欠です。

今ABMが注目されている理由の一つがまさに、このSFAが各企業で導入され、一部の企業ではすでに運用にのっていることにあるのです。

ABM実施のための3つのパーツその2 デマンドセンター

デマンドセンターとは営業案件を創出するための部門を指します。

従来は営業が自分でテレアポ、飛び込み、展示会出展を行い、営業案件を創出してきました。デマンドセンターはそれらの営業活動を指すのではなく、現場の営業とは別で「営業案件を創出」します。

日本ではなかなか馴染みのない部門ですが、マーケティング部門と営業部門の溝を埋めるために重要な役割を果たします。

例えば、マーケティング部門は「今すぐ顧客」も「中長期でフォローすべき顧客」も含めてリードを獲得しますが、営業は「今検討もしていないリード」を含めた全てにアプローチしていたら、とても人手が足りません。

そこで、営業がアプローチすべき案件を創出し、今行くべきだと判断し、パスをくれるのが「デマンドセンター」の役割なのです。

ABMでは創出した案件をすべて営業に渡すのではなく、今行くべきものだけを選択することも重要です。そのため、デマンドセンターの存在はABMに必要不可欠であり、近年、組織の中に少しずつデマンドセンターに相当する部門ができてきたことにより、ABM実施の土台ができてきていると言えます。

ABM実施のための3つのパーツその3 マーケティングオートメーションツール

最後に、今ABMが注目を浴びている理由のひとつに「マーケティングオートメーションツール」というパーツが各企業で導入・運用され始めたという点があります。

デマンドセンターで案件を創出、選別し営業にパスし、営業がフォローした結果をSFAで管理できたとしても、それだけでは不十分です。リードの管理がずさんであったり、肝心な案件創出が属人的であったり、同じ作業の繰り返しに手間がかかっていては、案件はいつまでも安定供給できません。

2014年以前には外資系のツールしか実質存在しなかったマーケティングオートメーションの世界に、国内のツールベンダーや海外ベンダーの日本法人が出てきて選択肢が一気に増加ました。

その勢いに乗って、国内の各企業ではマーケテイングオートメーションツールが導入され、すでに運用がはじまっています。

マーケテイングオートメーションツールを導入した企業は、「どのように戦略的にこのツールを活かそうか」に悩んでおり、その解決策としてABMに注目が集まっているのです。

今回のまとめ

ABM(アカウントベースドマーケティング)が注目されている背景として、3つのパーツが揃ってきたことをご紹介しました。皆さんの会社ではいかがでしょうか。

ABM実施を検討していても、パーツが揃わなければ前へ進むことができません。今ABMが注目を浴びているのは、これまで時代の流れに合わせ、SFA、デマンドセンター、マーケテイングオートメーションツールと、少しずつ準備をしてきた企業が、それをつなぎ合わせることができたからです。 

ABM実施を目指す方は、まずは社内を見渡し、ABM実施前にやるべきことがないか整理してみると良いかもしれません。