アドテクノロジーは広告配信の技術の総称で、略してアドテクともよばれます。技術に対する言葉ですが、デジタル広告を運用する人にも重要な言葉となります。仕組みを理解することで、現在運用しているデジタル広告の効率性を検討できたり、今後出てくる新しい技術に対する理解度が変わったりします。

この記事では、企業でデジタル広告を担当している方に向けて、アドテクノロジーの意味や仕組み、種類、アドテクが生まれた背景を解説します。アドテクノロジーのメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

アドテクノロジー(アドテク)とは

アドテクノロジーとは、「広告=Advertising」の「Ad」と、「技術=Technology」をあわせた用語で、広告技術の総称です。従来の広告の概念を変えた、広告革命ともいわれる広告配信技術です。

たとえば、デジタル広告がはじまった当初は、バナー画像やテキストは媒体ごとに用意して、それぞれに設定・管理が必要でした。しかし、現在ではアドテクノロジーのおかげで、媒体がちがったり、サイズの違う画像でも一元管理ができるサービスがあります。

また、パソコン・スマートフォン・タブレットと多くのデバイスが流通している中では、デバイスごとに画面の大きさや見え方が異なります。ユーザーのデバイスごとに最適化する技術もアドテクノロジーの1つです。

広告主にとっては運用やコストの管理の手間を軽減し、ユーザーには最適な環境で必要な情報を配信します。アドテクノロジーを活用するには、インターネット上に表示される広告の配信技術を理解することが大事です。

アドテクノロジーとは広告配信システムの理解

インターネットユーザーは、日常生活においてWeb検索したり、大手ポータルサイトでニュース記事を読んだりしますよね、その際に何となく、「これ広告?おもしろそう」「気になって読み進めていたら広告だった」など、少なからずデジタル広告に接触したことがあるはずです。

デジタル広告について、「どのような仕組みで配信されているのか?」広告が配信されるシステムを知ることがアドテクノロジーを理解することといえます。

アドテクノロジーが生まれた背景

アドテクノロジーが生まれた背景には、当時のデジタル広告に費用を投入する広告主の課題によるものです。当時とは、デジタル広告の配信がはじまった1996年~2007年頃の広告配信事情となります。

2007年以前のデジタル広告では、広告主が直接、掲載メディアに依頼することが必要でした。そのため、「広告掲載による効果があるのかどうか?」は、広告主が自分で判断するしかない状況でした。

広告主のメディア掲載に対する課題

アドテクノロジーが誕生する前の広告主は、広告掲載メディアに対して、以下のような課題をかかえていました。

・広告の掲載をWebサイトごとに依頼する必要があった
・広告掲載効果を自社で判断する必要があった
・各メディアの課金形態がまとまっていないため、選定が困難だった
・メディアごとにデータ指標がバラついていて、比較が困難だった
・メディアからのデータ指標が不十分なため、広告効果の信ぴょう性に疑問があった

メディア側では、広告主から依頼を受けた広告コンテンツを、Webメディアの掲載枠にそのまま表示する必要がありました。そのため、メディア側も、検索エンジンの仕様変更による表示エラーリスクなどの問題をかかえていました。

アドサーバーの導入

広告掲載メディア側の問題点を解消するために導入されたのが、広告枠の外部化となる広告配信管理専用のアドサーバーです。アドサーバーの導入により、メディア側は、広告枠の販売コストだけではなく、広告表示回数やクリック回数など、配信結果を分析できるようになりました。

広告掲載メディアでは、広告の管理が効率化されたことにより、広告の効果測定に対して価値を認識しました。その流れにより2008年、日本において登場したのが、広告の外部配信となるアドネットワークです。

アドネットワークの登場

アドネットワークにおいては、複数のWebサイトへの広告一括配信が可能になり、広告主の課題が解消しました。さらに、広告配信の入札制度を導入することでインプレッション数ごとの課金方式になり、価格を広告単位で決定できるようにしました。

アドネットワークの登場を機に、広告効果を高めるために、Cookieデータを活用した行動ターゲティング広告の仕組みが導入されました。

アドテクノロジーの仕組み

アドテクノロジーの主流は、オーディエンスターゲティングとリアルタイムビッティング(RTB)の組み合わせです。ここでは、アドテクノロジーの仕組みについて解説します。

オーディエンスターゲティング

オーディエンスターゲティングとは、広告枠が掲載されたWebサイトに訪れたユーザーが過去に訪問したWebサイト、興味を持っている広告、商品の購入データなどを集計できる仕組みです。この仕組みにより、ターゲティングされた広告を、適切なタイミングで配信できます。

アドネットワークの普及により、オーディエンスターゲティングのような、「広告枠の販売」から、「広告を見られる頻度の高い枠の販売」が可能になりました。

リアルタイムビッティング(RTB)

アドテクノロジーでは、広告枠に対しての出稿ではなく、オーディエンスターゲティングの行動データに基づいた広告を配信できます。リアルタイムビッティングでは、ターゲティングされたユーザーに向けて有益な情報を提供するため、迅速な広告取引が可能になります。

アドテクノロジーの種類

アドテクノロジーにはいくつか種類があります。ここでは、主な広告配信の技術を解説します。

広告配信管理システム:アドネットワーク

アドネットワークは、複数のWebサイトに一括で広告を配信できる仕組みです。アドネットワークにより、インプレッション課金やクリック課金といった、広告単価を設定する制度が導入されました。

広告枠の売買システム:アドエクスチェンジ

アドエクスチェンジは、インプレッション表示を基準とした広告枠の売買システムで、広告枠単位で購入単価を決定する仕組みです。そのため、アドエクスチェンジは高額入札者が広告を表示できます。この方式をRTB(リアルタイム入札)といいます。

メディア向け収益最大化広告配信:SSP

SSPは、Supply Side Platformの略称で、広告を掲載するメディア側にとって、有益な配信システムです。SSPは、インプレッション表示回数により、広告単価報酬がカウントされていく仕組みです。

メディア側にとって有益性が高いため、SSPの利用開始には、システム導入料金と広告配信手数料が必要です。ただし、SSPは自動的に収益性の高い広告を選定して配信できます。その特徴から、広告運用の効率化につながる配信方法といえるでしょう。

広告主向け広告効果最大化広告配信:DSP

SSPと連携して収益性を追求できる仕組みが、DSP(Demand-Side Platform)です。DSPは、広告配信で得たデータを活かして、ターゲットユーザーの興味関心に訴求できるため、広告主のターゲティングに役立ちます。

また、メディア側にも、広告主に広告枠を高く購入してもらえるというメリットがあります。DSPとSSPの連携は、広告を発注する側の需要と、広告枠を提供する側の供給という関係性であるため、連携して運用することにより、発注側にも供給側にも、高い費用対効果をもたらします。

Web上のユーザーデータ管理:DMP

DMP(Data Management Platform)は、Web上にある自社ターゲットのあらゆる行動データを属性分析できるプラットフォームです。Web上にあるユーザーデータを管理してユーザーごとに最適な広告を配信することで、リピート購入を訴求します。また、Webサイトに訪問して離脱した見込み客に向けた広告も、配信できます。

第三者システム経由の広告配信:3PAS

先述のDMPによる広告配信の機能として、第三者システム経由による広告配信である、3PAS(Third Party Ad Serving)があります。3PASが指す「第三者」とは、アドエクスチェンジやDSPなど、他のアドテクノロジーを介して広告を配信する仕組みです。3PASは、Web閲覧ユーザーがメディアを行き来する行動にあわせて、複数の効果測定ができるアドサーバーです。

アドテクノロジーのメリット

アドテクノロジーのメリットについて解説します。アドテクノロジーには、次の2つのメリットがあります。

・効率よく多くの広告配信ができる
・第三者による客観的で信ぴょう性のあるデータで効果測定ができる

アドテクノロジーでは、アドネットワークにより複数のWebサイトに広告を配信できます。さらにアドエクスチェンジにより、インプレッションごとの広告枠の単価が設定されます。アドエクスチェンジが束ねるSSPやDSPなどにより、収益とインプレッションが最大化されるため、効率のよい広告配信が可能です。

また、第三者による信ぴょう性の高い効果測定結果により、自社のビジネスにとって高い価値をもつターゲットに向けて、広告を配信できます。

まとめ

アドテクノロジーは、広告の配信技術の総称で、デジタル広告の黎明期に誕生しました。当時は広告を出稿する企業が、直接媒体に依頼する状況であり、その効果も自分で判断するしかありませんでした。そういった背景を受け、技術的に広告を運用する技術が誕生しました。

アドテクノロジーには、Web上のユーザーの行動をもとにしたリターゲティング効果といった特徴があります。アドテクノロジーにより、時間と手間をかけずに、大量のトラフィックを得られます。インターネットユーザーの環境変化にともない、今後もアドテクノロジーにおける新しい機能の登場が期待できます。