メールを積極的に活用してお客様にアプローチする「メールマーケティング」。前編では「メールマーケティングを実践するまでの流れ(=サービス・組織体制を分析して課題を抽出する)」をご紹介しました。また、実際にメールを活用し始めた結果「リソース不足のお客様へのご連絡に時間がかかる」という課題を解決することができました。今回の記事では、もう一つの解決すべき課題である「お客様の課題・状況を把握できていない」という問題に対してどのように取り組んだのかお伝えします。

解決した課題(2) お客様の課題・状況を把握できていない

前編でご紹介したのは、既存顧客へ新たなオプションサービスの販売開始を一斉メールで連絡するという広報戦略でした。実際にこの施策により受注を獲得することができたわけですが、営業活動においては広報・広告活動以上に「お客様の状況を把握すること」が重要となります。とりわけ「来季のご予算」や「現状の課題」といったお客様の情報は、商品・サービスや業界を問わず、お客様にご提案を行う上で欠かせない重要情報と言えるでしょう。

サービスの利用開始からあまり時間が経っていないお客様や、その後の連絡を定期的に行っているお客様であれば、こうした情報を把握することは難しくありません。しかし、サービスの利用を停止しているなどの理由で連絡が滞っているお客様の場合、お客様のご予算や経営課題といった最新情報が手に入らなくなってしまいます。そして、お客様の情報がわからなくなるとその分お客様への営業アプローチは難しくなるため、自ずとご連絡の優先順位が低下し、ますますお客様の状況がわからなくなるというマイナスの連鎖が起こります。

もちろん、お客様との距離を狭めるためには営業マンがこまめに電話をかけたり、直接訪問すればよいのですが、数百社あるお取引先のすべてに対して均等にそれを行うことは、事実上不可能といってよいでしょう。そこで効力を発揮するのがメールの活用というわけです。

既存顧客に対し、私たちは次の2パターンのメールマーケティング施策を実行しました。

実施した施策(1) サービス利用を停止していた既存顧客への再アプローチ

・実施した施策の内容(1)

過去にサービスをご利用いただいていたお客様を対象にメールを一斉に配信し、アポイントメントの打診を行うと共に、サービス利用を再検討いただくようご提案を行いました。<br>

また、返信率を高めるためキャンペーン企画を立上げ、その紹介もメール文面に盛り込みました。

・施策の効果

約300件のメールを送信した結果、いただいたご返信は46件。そのうち20件がアポイントメントにつながりました。

・所感

サービスを解約した過去のお客様に対して積極的にアプローチするのは、営業マンとしてはためらいが生じがちなもの。その点、メールでのご案内の場合、営業側で無駄な労力を使う必要はありません。また、「送られてきたメールにどう対応するか」はお客様の側にゆだねられるので、実は双方にとって効率的な営業手法といえそうです。

今回の事例では20件のアポイントメントを獲得することができ、これは想定上の成果でした。一度解約されたお客様であっても、時間が経つことでお客様側の社内事情、経営方針、担当者が変わっている場合があります。こうしたお客様から「しばらくお付き合いがありませんでしたが、今回のキャンペーンをきっかけに再度検討してみます」とお声がけいただくパターンも多く見られました。

実施した施策(2) 既存顧客に対する新サービス立上げのご案内

・実施した施策の内容

既存顧客の中から対象となる業種のお客様を選び、新サービス立上げのご案内をメールで一斉送信しました。

今回は2つのサービスに即した2パターンのメールをお送りしました。

・施策の効果

(1)約50件のメールを送信した結果、返信は7件。そのうち6件が案件につながりました。

(2)約70件のメールを送信した結果、返信は6件。そのうち4件が案件につながりました。

・所感

これまでは、新サービスのご案内は個別訪問によってご案内・ご提案していました。しかし今回これをメールで行ったところ、メールのやりとりだけでほぼすべてのご案内とサポートを完結できることがわかりました。

このケースでは、お客様はすでにサービスをご利用いただいている企業であり、メールは既存サービスに対する追加発注をご提案する内容でした。このように導入に対するハードルが低い場合は、特にメールの活用が高い効果を発揮するものと思われます。

まとめ

以上、前編・後編と2回にわたってメールマーケティングの考え方と導入事例をご紹介しました。この事例はあくまで多数あるケースの一部ではありますが、ご参考いただけたでしょうか。

営業手法というのは企業によってさまざまであり、長年慣れ親しんできたやり方を大きく変えることは簡単ではありません。「営業の基本といえば電話と訪問」という風潮もまだまだ根強く、メールを主体とした営業に抵抗を感じる方も少なくないようです。

しかし、今回の記事でご紹介した通り、企業の特性や課題を正しく分析した上でメールを活用すれば、高い成果を上げることも可能です。もちろん、営業の課題解決の方法はメールマーケティングに限ったことではなく、各社のビジネスモデルや組織体制に合わせたベストな改善手法を模索する必要があるのは言うまでもありません。いずれにせよ重要なのは、変化を恐れず、新たなチャレンジをすること。今回の記事がその一助になれば、うれしく思います。